ゲーム音楽がオリンピック開会式に採用、を純粋に喜びたい

 コラム 
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 著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長) 

2021年7月23日、東京オリンピック2020の開会式が開催されました。東京での新型コロナウイルスの感染拡大が問題となる中、オリンピックの開催自体に様々な議論があり、それに付随して開会式の評価についても様々な視点から様々に語られていますが、「ゲーム音楽」が多く採用されていたことで少なくとも筆者の周りでは大好評でした。ゲーマーにとっては非常に良い開会式だったようです。

ゲーム音楽がオリンピック開会式に採用、を純粋に喜びたい

ようです、というのは実は筆者は開会式を観ていないからです。上にも書いたとおり、新型コロナウイルスが蔓延する中でのオリンピック強行はいろいろな事情があるにせよ問題も大きいと筆者も感じていまして、「なんだかなぁ」と少し冷めてしまっていたからです。テレビを持っていないので途中から観ることも叶わなかっのですが、この開会式を観るためだけにテレビを買っておけば良かったとも思います。後の祭りですけど。

さて私などは、ああ、ゲームも音楽がオリンピックの開会式で使われるくらいにはなったんだな、とそれなりの感慨があるわけですが、「ゲーマーは簡単だと思われている」「オリンピックに利用しても国はゲーム産業を支援しない」という意見が一部SNSなどにあるようで、うーん、それってどうなんでしょう。

確かにゲームは、日本においては良くないものとされてきた過去があります。ゲーム脳という言葉があり、ゲームをすると人格形成にマイナスの影響があると信じられてきました。ゲームをすると学校の成績が下がると思われてきたし、ゲームを好む人は引きこもりで社会に適用できない性質だともされてきました。それなのに、オリンピックにしれっとゲームを利用するなんて。新型コロナウイルス蔓延下でのオリンピック強行をゲーム音楽を利用して払拭しようとしたって僕たちは騙されないぞ。と。

まあ分からなくもないんです。分からなくもないんですが、ちょっと穿ち過ぎというか、そこまで反抗しなくても良いような気がします。

世界中の人達が観る、可能性がある、場で、日本の代表的な文化としてゲーム音楽が使われた。これはとても良いことなのではないでしょうか。少なくとも「ゲーム音楽を使うことがマイナスではない」ということです。ということになったんです。

私たちがオリンピックの開会式に驚いたのは、「社会的地位が低いゲームの音楽が使われた」からではなくて、「思い切ったことがなかなかできない日本が面白いことをやったから」ではないでしょうか。みんなあれでしょ、48人位のグループの曲とか、学校の歌唱イベントで使われる曲とかが流れると思ってましたよね?筆者は思ってました。そういう安牌を日本が選ばなかったことに皆が驚いたのではないですか。
そもそももう既にゲームはそんなに差別されていませんよね。ゲームは日本を代表する文化です、と言ってしまっても問題にする人はあまりいないのではないでしょうか。ここに至る経緯や、いろいろな人の努力の積み重ねはもちろんもっと認知されなければと思いますけれども、「良いように利用しやがって」ということでは無いですよね。

ゲーム音楽が流れたからってオリンピック強行が良しともなりませんけれども、いちゲームファンとしてはやはり嬉しいですし、それで良いのではないかと思います。ゲームの音楽は当然にして使われたのです。

筆者としては、閉会式ではどんな音楽が流れるのかが気になりますが、願わくばこちらもゲーム音楽で〆ていただければと思います。フィナーレに相応しいゲーム音楽もたくさんありますので。
利用しやがってとか言わずに、閉会式も楽しみに待ちましょう。ゲームの音楽が流れるかはわかりませんけれども。

著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長)
いつの間にかメディアの人みたくなったことにいまだに慣れない中年ゲーマー。夜行性。
好きなゲームは「桃鉄」「FF5」「中年騎士ヤスヒロ」「スバラシティ」「モンハン2G」「レジオナルパワー3」「スタークルーザー2」「鈴木爆発」「ロマサガ2」「アナザーエデン」などなど。
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