現代に蘇り始めた幻のロックマンと、幻になり始めたロックマン?シリーズが抱えるひとつの課題

 コラム 
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 著者:シェループ 

カプコンの看板タイトルで30年以上の歴史を誇る「ロックマン」。現代に蘇り始めた幻のロックマンと、幻になり始めたロックマン?シリーズが抱えるひとつの課題

一時期、表立った展開が数年規模で途絶える”氷河期”に見舞われることもあったロックマンシリーズだが、2016年発売の「ロックマン クラシックスコレクション」を皮切りにその氷河期から脱却。過去に発売されたシリーズ作の移植展開を主軸にしつつ、時折完全新作も発売され、現役であり続けている。

そんなロックマンでここしばらく面白い動きと、気になる動きが起きている。

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面白い動きは、幻のロックマンのシリーズ作が相次いで復刻し、現在の環境下で遊べるようになったことである。

気になる動きはその逆で、今後、幻になり得るロックマンが現れ始めていることである。

遊ぶハードルが非常に高かった「ロックマン」の相次ぐ復活

そもそも幻のロックマンとは何か。

それは今まで復刻の機会に恵まれなかったシリーズ作のことである。

なぜ復刻の機会に恵まれなかったのか?

ひとつは、復刻の機会がありながら、結果的に実現することなく終わったというもの。

もうひとつは、提供されたゲーム機のタイトルを復刻させる環境が、技術、権利的な問題で、整っていなかったというものである。

このハードルの高さは、機会がありながら実現に至らなかった作品も少し該当している。

そんな復刻されたシリーズ作というのが以下の3作である。

ロックマンメガワールド(メガドライブ、1994年発売)

現代に蘇り始めた幻のロックマンと、幻になり始めたロックマン?シリーズが抱えるひとつの課題

セガの家庭用ゲーム機「メガドライブ」向けに発売された、唯一のロックマン。メガドライブ向けにグラフィック、音楽周りを大幅にアレンジした「ロックマン」~「ロックマン3」の3作を1本にまとめたタイトル。3作すべてクリアすると、本作独自に作られた完全新作の短編「ワイリータワー」が遊べるようになる。

前述の復刻の機会がありながら、実現せずに終わった作品である。2006年に任天堂から発売された家庭用ゲーム機「Wii」で展開された、「メガドライブ」を含む古いゲーム機のタイトルを遊べるよう提供するサービス「バーチャルコンソール」がその復刻の機会だった。しかし残念ながら復刻することはなく、サービス自体も終了してしまった。

その後2019年に発売された「メガドライブミニ」の収録タイトルのひとつとして復刻。2022年にはNintendo Switchの「メガドライブ Nintendo Switch Online」のアップデートで追加タイトルとして配信。「メガドライブミニ」以外でも遊べるようになった。

ロックマン ザ・パワーバトル(アーケード、1995年稼働)&ロックマン2 ザ・パワーファイターズ(アーケード、1996年稼働)

現代に蘇り始めた幻のロックマンと、幻になり始めたロックマン?シリーズが抱えるひとつの課題アーケード筐体向けに制作されたロックマンの新作。ボス戦に特化したアクションゲームで、従来の「ロックマン」シリーズのような道中ステージは登場しない。ボスを倒すと「特殊武器」が手に入り、それを特定のボスに使うと大ダメージを与えられる定番のシステムは健在。基本操作も従来のロックマンに準拠しているが、1996年稼働の続編ではガード、必殺技といった対戦格闘のようなアクションが(特定のキャラクターにおいて)可能になっている。

この作品は遊ぶためのハードルが高かった。アーケードタイトルということもあり、稼働終了後に遊ぶには高価な基板を買う必要があったのだ。

2000年に「ロックマン バトル&ファイターズ(ネオジオポケットカラー)」、2004年に「ロックマン パワーバトルファイターズ(PlayStation 2)」の名で復刻、移植されているが、オリジナルのアーケード版そのものは一度も復刻されていない。2022年配信の「カプコンアーケード2ndスタジアム」において、初めてアーケード版が復刻。

ロックマン バトル&ファイターズ(ネオジオポケットカラー、2000年発売)

前述の「ロックマン ザ・パワーバトル」、「ロックマン2 ザ・パワーファイターズ」を1本にまとめたタイトル。SNKの携帯ゲーム機「ネオジオポケットカラー」用タイトルとして発売された。基本的な内容は原作のアーケード版と共通しているが、グラフィックと音楽がハード性能に応じて変更。ファミコン時代の「ロックマン」シリーズを思い起こさせる作風になっている。また、本作独自の要素として、キャラクター情報を閲覧できる「ライブラリ」が用意されている。

現代に蘇り始めた幻のロックマンと、幻になり始めたロックマン?シリーズが抱えるひとつの課題

こちらも遊ぶためのハードルが高かった作品。そして、復刻するための環境が長らく整っていなかった作品でもある。「ネオジオポケットカラー」は僅か2年で幕を閉じた短命な携帯ゲーム機で、普及台数も伸び悩んだため、遊べた人はかなり限られたと推察される。そもそも存在そのものを知らなかった人もいるかもしれない。Nintendo Switch、Steam向けに当時販売されたタイトルを復刻する「NEOGEO POCKET color Selection」の流れから2022年、復活を果たした。

上記3タイトルがNintendo Switchを始め、現行のゲーム機で気軽に購入し遊べるようになった。

二度と復活しないのでは、と懸念されたシリーズ作がこのような形で復活を果たしたことは歓迎できる展開だ。

実はこのようなロックマンのシリーズ作に対しては、懸念も多い。

それが逆の動き、幻になり得るロックマン、つまり復刻されない可能性が高い作品が現れ始めているからだ。

幻になり始めたナンバリング以外の「ロックマン」

2022年現在のロックマンは、過去に発売されたシリーズ作を現行のゲーム機へと移植し遊べるようにすることに注力している、というのは前述した通りである。

しかしその対象はナンバリング、またの言い方で本伝(本編)のシリーズ作に限定されている。

現代に蘇り始めた幻のロックマンと、幻になり始めたロックマン?シリーズが抱えるひとつの課題

ロックマンには「ロックマンX(エックス)」、「ロックマンDASH(ダッシュ)」、「ロックマンエグゼ」といった様々な派生作が存在し、それぞれが独自のシリーズ展開を確立している。その内、現時点で過去作をまとめたコレクションを発売したのが「ロックマン(初代、本家)」、「ロックマンX」、「ロックマンゼロ」、「ロックマンゼクス」である。

2023年には「ロックマンエグゼ」もコレクションを発売する運びとなっている。

しかし、いずれのシリーズのコレクションで収録されているのはナンバリング、本編のみ。ナンバリング以外のシリーズ作は対象外となっている。

今後発売予定の「ロックマンエグゼ」もそのような形だ。

「ロックマンゼロ」は本編以外としてはニンテンドーDS向けに発売された「ロックマンゼロ コレクション」しかない、「ロックマンゼクス」はひとつも存在しないことから、不足分もなくまとめられている唯一の存在となっている。逆にそれ以外のシリーズには不足分が多い。特に初代には非常に多く、今後、どうしていくのかという課題がある。

現代に蘇り始めた幻のロックマンと、幻になり始めたロックマン?シリーズが抱えるひとつの課題

そして、今後遊べなくなるロックマンの過去作品が増えることが想定されている。。2023年3月にニンテンドー3DSとWiiUのオンラインストア「ニンテンドーeショップ」が終了するのだ。そこで販売中だったロックマンシリーズ作が購入できなくなる。

現行のゲーム機への復刻が進んでいるのだし、終了の影響は軽微だろうと思うかもしれない。だがそれはナンバリングの本編だけだ。それ以外の作品は復刻が進んでいないため、3DSとWiiUのオンラインストアが終われば本当にそこまでになってしまう。

ゲームボーイ向けに展開された「ロックマンワールド」のシリーズ5作、「ロックマンX」の外伝2作(サイバーミッション、ソウルイレイザー)は、3DSのバーチャルコンソール以外での展開がないため、特に終了による影響が大きい。

また、WiiUで配信されている「ロックマン&フォルテ」は今後、幻となる可能性が際立って高いと筆者は考えている。なぜならこの「ロックマン&フォルテ」はゲームボーイアドバンスの移植版で、元はスーパーファミコンで発売された作品である。そのため、今後オリジナルのスーパーファミコン版が復刻されることでもあれば、スルーされる可能性があるからだ。

現代に蘇り始めた幻のロックマンと、幻になり始めたロックマン?シリーズが抱えるひとつの課題

さらに「ロックマンエグゼ」においても、「ロックマンエグゼ バトルチップGP」、「ロックマンエグゼ4.5 リアルオペレーション」の2つが3DSとWiiUのオンラインストアの

終了によって購入できなくなる。これらは今後発売予定のコレクションに収録されないことが告知されている。そのため何も施策が打たれなければ、幻の存在になってしまうだろう。

現代に蘇り始めた幻のロックマンと、幻になり始めたロックマン?シリーズが抱えるひとつの課題

今までは3DSとWiiUのオンラインストアが継続していたことから、現行機への移植は考えなくてよかったのかもしれない。しかし3DSとWiiUは既に現役を退き、オンラインストアも終了を迎える。

復刻の機会に恵まれていなかったために多くのロックマンシリーズ作が宙に浮いてしまう。

3DSとWiiUのオンラインストア終了については、ロックマンに限った話ではない。ただ、ロックマンは復刻を進めているシリーズ作だ。この宙に浮くシリーズ作が多発するというのは、カプコン側としては重く受け止める必要があるのではないだろうか。

前述の「ロックマンメガワールド」、「ロックマン ザ・パワーバトル」といった作品が連続して復刻をしたのを思えば、これからのシリーズにおいては、さらに復刻を加速させていく必要があるように思えるのだ。

間もなく35周年。さらなる復活が相次ぐことを願って

とは言え、ナンバリングというのは、コレクションとしてまとめる際に便利な条件でもある。それを思えば、ナンバリング外の作品は、ひとまとめにするのが難しい一面もある。

とりわけナンバリング以外の作品が際立って多い初代ロックマンの場合、復刻させる際の悩みの種になるだろう。

ただ既にナンバリングのシリーズは一通り復刻している。それであればナンバリング作品以外をひとまとめにした、「ロックマン クラシックスコレクション3」というようなコレクションを復刻版として出すという方法が使えるかもしれない。

特に「ロックマンワールド」シリーズに関しては近年、「魔界塔士Sa・Ga」のようにゲームボーイのタイトルが復刻する例が増えてきていることから、やれる素地は十分だろう。

筆者個人としては、そこに「ロックマン8 メタルヒーローズ」の後日談でナンバリングとの関連性が非常に深い「ロックマン&フォルテ」のスーパーファミコン版も入れていただきたいところだが。

仮に今後、Nintendo Switch Onlineのサービスでゲームボーイ、ゲームボーイアドバンスの配信プラットフォームが展開されるとなれば、そちらで「ロックマンワールド」シリーズを配信するのも良い選択肢だろう。

現代に蘇り始めた幻のロックマンと、幻になり始めたロックマン?シリーズが抱えるひとつの課題

他の派生ロックマンにも復刻に関して課題のあるタイトルがいくつかある。「ロックマンX」ならシリーズ異例のRPGである「ロックマンX コマンドミッション」がそれだ。ボリューム的にも大きい長編なだけに、これはコレクションとして復刻するよりも単品で復刻させるのが望ましいのでは、と筆者は考えるのだがいかがだろうか。

「ロックマンエグゼ」にも、前述の2作以外に復刻されていないタイトルで「ロックマンエグゼ トランスミッション」、「ロックマンエグゼ ファントムオブネットワーク」などがある。後者は携帯アプリのため、復刻するにも相当にハードルが高いと思われる。しかしそういったアプリ版の復刻も「G-MODEアーカイブス」の誕生によって、ハードルが徐々に低下し始めているという明るい動きもある。

当面は「ロックマンエグゼ」のナンバリングの復刻が優先だろうが、それによってさらなる復刻の機運が高まれば、ぜひ前向きに考えてくれればと願うばかりである。

現代に蘇り始めた幻のロックマンと、幻になり始めたロックマン?シリーズが抱えるひとつの課題

心配事もあるが、幻とも称されたロックマン作品の復刻はこれからの展開を期待させる。

また、2022年で「ロックマン」は35周年を迎える。そのため、シリーズ全体がより活気づくという期待もある。

形はどうであれ、これからも現行機への復刻に力を注ぐなら、復刻できずに取り残されているシリーズ作も忘れず、遊べる機会を設け続けて欲しい。

やはり「ロックマンエグゼ」の次は「流星のロックマン」なのだろうか。

それとも、今や幻になりかけの「ロックマンDASH」か。

ただ、完全新作も忘れないで欲しいとも思うこの頃です。

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著者:シェループ
新旧様々なゲームに手を伸ばしては、積みゲーを増やし続けるひよっこライター。アクションゲーム全般(特にロックマンシリーズとメトロイドシリーズ)と戦略シミュレーションが大好物。
Twitter:@shelloop