インディーゲーム開発は作りたいものを作るべきか、売れるものを作るべきか問題

 コラム 
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 著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長) 

定期的に話題になるこの問題ですが、私の答えは過去から今に至るまで変わったことはなくて、

まずお金が大事

です。

考え方や価値観はいろいろあり、正解は人それぞれに違うという前提で、以下私の考えを少しだけ書きたいと思います。

インディーゲーム開発は作りたいものを作るべきか、売れるものを作るべきか問題

収入が別にあって趣味でゲーム開発をしている方は別ですが、仕事としてゲーム開発をしている方は、規模の大小を問わず、開発するゲームをいかにお金にするか、という命題から逃れることはできません。

お金がなければ会社は潰れ、個人であれば生活が成り立たなくなり、ゲーム開発自体を継続できないからです。
そもそも仕事は収入を得るためにやるのであって、その中でなるべく自分の人生の目的や価値観に近いものをさまざまなバランスの中から選ぶものです。

インディーゲーム開発は作りたいものを作るべきか、売れるものを作るべきか問題

収入を期待しないのであればそれは仕事ではなく趣味、です。趣味でゲームを作るのは素晴らしいことですので、その道も良いと思います。しかし、その場合は別に本業が必要で、その時間もゲーム制作に使いたい!というのであれば、十分な資産を持っているとかそういう状況にない限り仕事として取り組む必要があります。

結局はお金ですか?と感じる方もいるかもしれませんが、そうではなくて、最初から最後までお金が大事なのです。
売れるゲームを作ってきちんとお金を得て、ゲーム制作を継続して行ってほしいと思います。

ゲームを開発してお金を得るには、作りたいものを作る、という感覚とはかなり違います。
現在の社会が求めているものを調べ、それに合わせて企画し、適切に宣伝をしていく必要があります。会社であれば、自分が作りたくないものであっても利益を得るために作る必要があります。これは多くの先輩ゲームクリエイターが異口同音に肯定していますし、ゲームでなくてもおよそ事業と呼ばれるものには必要な考え方です。

個人であればまずは収入を安定させる必要があります。経済的な安定を獲得したら、そこからが作家性の追求とか、作りたいものを作るとか、そういうスタートラインに立てるのです。
一部の天才を除いては、収入がないうちはそのような勝負をすることはギャンブルに近く、実際に筆者の周辺の多くのゲームクリエイターが失敗しています。
独立したら作りたいものを作る、というのは気持ちとしては本当によくわかりますが、まずは売れるものを作り、経済的な安定を得て、その中で開発スキルを磨き、ファンを作って、そして十分に安全な体制で挑戦的な開発に臨むのが良いと思います。

そこにいつ辿り着くかは人によるかと思いますが、早いから遅いからと言って優れている、劣っているということはありません。

まず売れるものを作る。そこから得られるものは多いはずです、経済的安定以外にも色々なものが得られるでしょう。そしてお金は多くの問題を解決します。
作りたいゲームを作る、というのは素晴らしい目標だと思います。そのためにはまず売れるものを作れるようになる必要があるのでは、と筆者は考えています。

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著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長)
いつの間にかメディアの人みたくなったことにいまだに慣れない中年ゲーマー。夜行性。
好きなゲームは「桃鉄」「FF5」「中年騎士ヤスヒロ」「スバラシティ」「モンハン2G」「レジオナルパワー3」「スタークルーザー2」「鈴木爆発」「ロマサガ2」「アナザーエデン」などなど。
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