「マリオ&ルイージRPG」シリーズの開発会社「アルファドリーム」が破産、シリーズの今後はどうなる?

 コラム 
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著者:シェループ

2019年10月2日、「マリオ&ルイージRPG」シリーズの制作で知られるゲーム開発会社「アルファドリーム」の破産手続き開始が「帝国データバンク」、「JC-NET」において報じられた。

『マリオ&ルイージRPG』など開発 アルファドリームが破産開始

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それによれば、2018年3月末時点での負債額は約4億6500万円。近年、収入面で伸び悩み、人手不足や開発コスト増が業績を圧迫し、赤字経営を続けた末に債務超過に陥り、今回の事態を招いてしまったようだ。

……少し嫌な予感はしていた。

昨今、マリオ&ルイージRPGシリーズは不調気味だったからだ。

同社もNintendo Switchではなく、ニンテンドー3DSでゲームを作り続けるなど、時代の流れに付いていけてない、著しく遅れてしまっている所が見えていた。

それでも2019年にiOS/Android向けアプリ「けだまのゴンじろー フィットエンドラン」を配信するなど、やっと乗り始めたと思しき展開はあったのだが……。

本当、ここに至るまでの流れが早く、戸惑う一方だ。

第2のマリオRPG誕生と人気の定着

アルファドリームは1996年3月9日に発売されたスーパーファミコン用ソフト、「スーパーマリオRPG」の制作に携わった、スクウェア(現:スクウェア・エニックス)のスタッフを中心に設立された会社だ。

初代「マリオ&ルイージRPG」は2003年11月21日、ゲームボーイアドバンス用ソフトとして発売された。

「マリオ&ルイージRPG」シリーズの開発会社「アルファドリーム」が破産、シリーズの今後はどうなる?

その前にも同社はゲームボーイカラー用ソフト「コトバトル」、ゲームボーイアドバンス用ソフト「トマトアドベンチャー」と言ったオリジナルのRPGを制作。いずれも独特の戦闘システムが異彩を放つ作品で、隠れた名作と高く評価された。

その手腕は任天堂の目にも止まり、先の「トマトアドベンチャー」で初のタッグを結成。同作は当初、ゲームボーイカラー用ソフト「ギミックランドとして制作が進められていたが、任天堂との共同開発になったのを機にハードを変更。合わせてタイトル名も変更されたこと任天堂公式サイトのインタビューにて語られている。

「マリオ&ルイージRPG」は2003年5月23日発売の「とっとこハム太郎4 にじいろ大行進でちゅ」に続く、任天堂とのタッグ第三弾として発売された。

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当時、「スーパーマリオRPG」の系譜に連なる続編で、一時期まで仮題が「スーパーマリオRPG2」だった「マリオストーリー」がNINTENDO64向けに発売済みだったため、2つのマリオRPGが誕生するという、少し奇妙な構図が出来上がった。

肝心の内容も攻撃時だけでなく、防御時にもアクションが要求され、タイミングが合えばカウンターを仕掛けられる戦闘システム、弟の「ルイージ」と共に謎を解いたり、戦闘では連携攻撃を決める独自要素など、過去の「スーパーマリオRPG」、「マリオストーリー」とは一線を画す「ブラザーアクションRPG」なる新境地を開拓。

滑らかに動くドット絵、軽妙な会話劇満載のストーリー、そして「スーパーマリオRPG」に携わった下村陽子氏による音楽も話題を呼び、大きなヒットになった。

「マリオ&ルイージRPG」シリーズの開発会社「アルファドリーム」が破産、シリーズの今後はどうなる?

筆者としては、作中の悪役をお馴染みのクッパではない新キャラクター、「ゲラゲモーナ」なる魔女が務めたのがとても印象的で、同じく「カジオー」なる者が悪役だった「スーパーマリオRPG」を思い起こす嬉しさを感じた記憶がある。

またその当時、行方知れずになっていたクッパの子供達「コクッパ7人衆」(※2019年現在はクッパの配下達へと設定が改められ、名称も「クッパ7人衆」に)が大変久しぶりに登場し、大暴れするイベントがあったのも感無量だった。

「マリオ&ルイージRPG」シリーズの開発会社「アルファドリーム」が破産、シリーズの今後はどうなる?

もちろん、ゲームも特に戦闘システム、マップデザイン、難易度の塩梅が素晴らしく、一気にエンディングまで遊んでしまうほどに熱中した。

もう少しクリア後の要素があっても、という物足りなさもあったが、「スーパーマリオRPG」の血筋を継承した新作の誕生にはそれ以上に興奮した記憶がある。

期待に応えるかのように、2年後にはニンテンドーDSで続編「マリオ&ルイージRPG2」が発売。続けて「マリオ&ルイージRPG3!!!」が2009年に、2013年にはニンテンドー3DSで「マリオ&ルイージRPG4 ドリームアドベンチャー」が発売された。

特にシリーズ3作目の「マリオ&ルイージRPG3!!!」は、地上とクッパの体内を冒険する、ニンテンドーDSの特徴をフル活用したゲームデザイン、前作で課題の残された戦闘バランス、ボリューム周りの大幅な改善、そして「巨大化バトル」なる見栄えするイベントも入れるなりして大きく進歩。

クッパを事実上の主人公に据えたストーリー構成、初代「マリオ&ルイージRPG」でゲラゲモーナの腹心として登場した天才科学者「ゲラコビッツ」のメイン悪役昇格など、未プレイの人からシリーズファンにも強い関心を抱かせるフィーチャーも満載で、最終的に60万本以上の売り上げを叩き出す大ヒットになった。

今なお、「マリオ&ルイージRPG3!!!」に関してはシリーズ最高傑作の呼び名が高い。

そんなヒットが出たからこそ、今後も安泰かに見えていた。マリオ以外にも、2003年以降の「とっとこハム太郎」シリーズの制作にゲームボーイアドバンス、ニンテンドーDSと順番に携わり、いずれも高評価を獲得するなど、好調だったのもある。

調子を崩し始めていた近年のシリーズ

しかし近年、シリーズは露骨に調子を崩していた。

具体的には売上の落ち込み、ワゴンセール送りになるレベルの値崩れ多発だ。

また、2015年の「マリオ&ルイージRPG ペーパーマリオMIX」以降、過去作のリメイクを中心とした展開になり、完全な新作が出なくなった。さらにNintendo Switchが発売以降も、ニンテンドー3DSでシリーズを展開していた。

リメイクが発売されたのは2017年と2018年だ。どちらも不調に終わっている。特に2018年、Nintend Switchの時代が本格化した最中に出た「マリオ&ルイージRPG3 DX」は、発売から2ヶ月も経たぬ内に大きく値段が下がってしまう。発売日当日に買った筆者は、年明けに立ち寄ったゲーム売り場で投げ売り価格で売られている光景を見て「もうそんなに!?」と心の中で叫んでしまった。

何故、調子を崩していたのかは、近年の動向からして明らかである。ただ、それ以外にファン離れも僅かに起きていたのでは……と考えてしまう所がある。

特にNintend Switch発売から1年が経っても3DSで、リメイク中心の展開を続けていた昨今の情勢はそれを誘発していたように思える。また、ゲームの方も作品を重ねていくにつれ、戦闘システムの”クドさ”が際立ちつつあった。プレイヤーの攻撃時間は短いのに、敵は長い。回避を間違えれば致命傷確定という極端なバランスのことだ。

筆者の雑感として、「マリオ&ルイージRPG4」で「イージーモード」と呼ばれる、敗北後に難易度を下げてリトライできる機能が備わって以降、よりその辺りが露骨になり、先鋭化の端に触れていたように見える。

「マリオ&ルイージRPG」シリーズの開発会社「アルファドリーム」が破産、シリーズの今後はどうなる?

続く「ペーパーマリオMIX」では操作キャラクターも増え、視覚的に「大変そう」という印象を与える作りに。これでも4キャラ(4ボタン)を動かす2よりかは優しく、本人の特性もあって独自の戦術を楽しめるのだが、戦闘難易度は4より高めに設定され(具体的には初見では回避の仕方が分からない攻撃を決めてくる敵が増えた)、よりハードルが高くなったことは否定できない。
※ただ、イージーモードが設定画面から選択・切り替え可能に、「きんきゅうガード」なる防御手段追加など、多くの改善があった。

システム面でも二画面を活かしたアイディアは3で極まり、4で限界に達した感じがあった。それが以降のリメイク中心の展開を招いたと思われる。結果、新作が出なくなったことから関心度も下がり、人気に陰りが出たのでは……と。4とMIX2作の戦闘難易度上昇など、先鋭化を感じさせる部分も若干、抵抗感を付与させたのかもしれない。

とは言え、リメイクもリアルタイムストラテジー(RTS)風の戦闘システムを採用した新エピソードを追加するなど、新たなアプローチは欠かしていなかった。

また、戦闘難易度も先鋭化に「待った」がかかった。特に「マリオ&ルイージRPG1 DX」は最もシンプルな作りをしていた初代のリメイクだったのもあり、原点回帰も果たし、本来の魅力が改めてアピールされた形だ。

そのことからも、シリーズを一から考え直そうとする姿勢は現れていた。それは続く「マリオ&ルイージRPG3 DX」を出したことからも察せたところである。

しかし、衰退期のニンテンドー3DSで作り続け、右肩下がりで売上を落としていたのが懸念材料になっていたのも事実。結果的にそれは最悪の形で結実し、このたびの事態が起きてしまった。

本当、残念極まりない。このシリーズのみならず、「コトバトル」、「トマトアドベンチャー」の2作も素晴らしく、どちらも続編を出してもいいほどの魅力があった(ちなみに後者はエンディングが新たな冒険の始まりを匂わすものだった)。

それがこんな形で潰えてしまうとは。会社の規模的に限界があったにせよ、時代の流れを読み取って欲しかった。今はただ、それだけを悔やむばかりだ。

復活の可能性は残るも、マリオRPG全体への懸念が

これからシリーズはどうなるのか。今の時点では分からないとしか言い様がない。

しかし、同じマリオの派生作で、2019年現在は解散してしまったハドソンが開発していた「マリオパーティ」は、9作目以降より当時のスタッフが結集した会社「エヌディーキューブ」が作ることになって存続した経緯がある。

メーカーこそ違うがマーベラスの「ルーンファクトリー」も開発の「ネバーランドカンパニー」が倒産する出来事があったが、その後、当時のスタッフのマーベラスへの移籍、HAKAMA株式会社の設立などを経て、4作目のリメイク「ルーンファクトリー4スペシャル」がNintendo Switchで発売され、シリーズ最新作「ルーンファクトリー5」の制作が同ハード向けに進められている。マリオ&ルイージRPGもそのような展開に至れば、復活は間違いなくあるだろう。

しかし、本シリーズに限らず、今やマリオのRPG作品は全体的に不調傾向だ。

もう一つの「マリオストーリー」こと「ペーパーマリオ」も、2012年の「ペーパーマリオ スーパーシール」のシステムと世界観一新、作り込みの甘さが不興を買い、同路線を継承した次作「ペーパーマリオ カラースプラッシュ」で著しく調子を崩してしまった。(※ゲームとしては前作から大きく進歩・改善されたが)

同シリーズは比較的、新作までのスパンが長いので、水面下で新作が作られている可能性は否定できない。

だが、それがかねてから好評だったゲームシステム、ストーリー性の薄い、「スーパーシール」以降の路線だった場合、歓迎されるかは怪しい。

むしろ、今回の件を機にペーパーマリオがRPGに戻るのを望む声は一層強くなると思われる。その期待に応えた原点回帰をするのか、或いは己の道を進むのか。

そもそも昨今、マリオのRPGは求められているのか?

そんな疑問も残るのだが、将来が不安視される状況になったからこそ、希望を見せて欲しいと思うばかりだ。まさにシリーズ最大の正念場、無事、乗り越えられることを今はただ願う。

著者:シェループ
新旧様々なゲームに手を伸ばしては、積みゲーを増やし続けるひよっこライター。アクションゲーム全般(特にロックマンシリーズとメトロイドシリーズ)と戦略シミュレーションが大好物。
Twitter:@shelloop