SFC時代の名作「ソウルブレイダー」は善悪の深みを描いた名作

 コラム 
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著者:シェループ

「バーチャルコンソール」、「ゲームアーカイブズ」など、旧世代のゲーム機で発売された名作を現行のゲーム機でダウンロードソフトとして販売するサービスは、月日の流れと共に若干、形を変えつつも定着した。

最近は「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」がヒットし、スーパーファミコン、NEO GEO、プレイステーション、メガドライブなどの小型版が話題を呼んでいる。

収録されているゲームはどれも名作で今、遊んでもおもしろいゲームばかりだ。だが、選ばれなかったゲームも少なくない。中には未だ、ダウンロードソフトでの復刻も果たされないゲームもあり、時間の経過と共に認知が薄れつつある。

筆者も、名作なのに復刻されないのが残念なタイトルが多数ある。具体的にそれは何かと言われれば、かなりの数にのぼるのだが、今回のこの記事では「ソウルブレイダー」を是非紹介したい。

SFC時代の名作「ソウルブレイダー」は善悪の深みを描いた名作

「ソウルブレイダー」は1992年1月31日にエニックス(現:スクウェア・エニックス)より発売されたスーパーファミコン用ゲームソフトだ。「アクトレイザー」を開発したクインテットの二本目のスーパーファミコンソフトである。

SFC時代の名作「ソウルブレイダー」は善悪の深みを描いた名作

パッケージのデザインは地味だが、内容は今なお名作と語り継がれているだけに、とても印象深いものになっている。特に物語と世界観である。人間を始めとする動植物の魂を奪い世界を滅ぼした魔王を、地上へ降り立った神に仕えし天空人の戦士を操作して倒すのがこのゲームの目的だ。

だがソウルブレイダーが名作と言われるようになった理由は、世界が滅んだ”きっかけ”にある。

魔王はいきなり現れ、蛮行に走ったのではない。ある王国を統治する王が己の激しい物欲を満たすため、一人の天才発明家を監禁して造らせた機械を用いて魔王を呼び寄せ、地上のあらゆる命と引き換えに莫大な黄金を受け取る取引をしてしまい、その結果、世界は滅亡へと至ってしまったのだ。

つまりは人間の欲望によって滅んだのだ。

そんな有様を憂う神が地上へ主人公の天空人を遣わし、魔王討伐と魂の奪還による世界の復興を目指す。「アクトレイザー」でも同じく題材にしていた「破壊と再生」を異なるアプローチから描いた設定で、一口に勧善懲悪とは言いがたい、当時としては先鋭的な物語になっている。

SFC時代の名作「ソウルブレイダー」は善悪の深みを描いた名作

ゲーム本編は様々なエリアで探索や戦闘をこなしながら、その地のボスを倒すという分かりやすいもの。魔物の巣を潰すと、そこに捕らわれていた魂が解放され、人間の生活が蘇るという進行だ。プレイヤーに、神の遣いとして世界を救っているという強い使命感を与える、印象深いプレイ感を演出している。

また、主人公は神の遣いゆえ、人間のみならず、動物、植物と会話ができる。その台詞も形あるもの全てに魂は宿る、愛する人はずっと傍にいるという道徳感にあふれたものになっており、打倒魔王のモチベーションを底上げする。

SFC時代の名作「ソウルブレイダー」は善悪の深みを描いた名作

心温まる展開ばかりではない。
終盤には世界を滅亡へと追いやった王を蘇らせることになる。

大罪を犯した人間を救って何の得が?

この展開には多くのプレイヤーが疑問を覚えるはずだ。

だが、その裏には知られざる背景があり、彼とて、好き好んで魔王を召還した訳ではないことが明らかになる。あまり詳しく話すのは止めるが、それらの過程にはあらためて、人間の脆さというものを思い知らされるだろう。

そして、表現上の限界からか、やや唐突な所もあったりするのだが、一連の展開にはこんなことを思うはずだ。「彼は繰り返す……」と。

他にも、各エリアの攻略にも起伏が付けられており、例えば新たな道の開放以外に近道ができ探索が快適になるなど、見事な気配りが凝らされたマップデザインは秀逸の一言だ。

難易度についても、終盤の「三種の神器」集めがノーヒントで右往左往しやすいという難点はあるものの、複雑なアクションは要求されず、レベルを上げての力押しも通用するので、アクションゲームに苦手意識のあるプレイヤーにも優しいと言って良いだろう。

SFC時代の名作「ソウルブレイダー」は善悪の深みを描いた名作

このような魅力に富んだソウルブレイダーだが、今も尚復刻を果たせていない。

なぜなのかは憶測でしかないが、エニックスのタイトルはドラゴンクエストシリーズを始め、大半が外部の開発会社による作品だった。本作も同様である。さらに開発したクインテットは既に倒産してしまっているらしい。

なぜ、曖昧な表現を用いたのかというと、公にそれが伝えられていないからだ。しかし、公式サイトの消失、業界関係者のTwitterでの発言などから既に存在していないことは間違いないようだ。

それを裏付けるかのように、2019年5月には同社の取締役を務めていた人物が別の会社で制作したスマートフォン向けパズルゲーム「ヨコタマ」がリリースされている。

この状況から察するに、恐らくは復刻するにも容易ならざる手続きが必要な状態になってしまっているのだろう。権利そのものはWiiのバーチャルコンソールで「アクトレイザー」が配信されていたことから、現在もスクウェア・エニックスが所持しているのと思われる(さらに当時は同作の権利を所有する別の会社が存在した)。だが、様々な事情が復刻を阻んでいるのだろう。

SFC時代の名作「ソウルブレイダー」は善悪の深みを描いた名作

クインテットは本作の後に同じくアクションRPGで「ガイア幻想紀(1993年)」、「天地創造(1995年)」を制作している。それらも「破壊と再生」を題材にしていたことから、「ソウル三部作」、「クインテット三部作」と呼称され、当時の世代、後年に遊んだプレイヤー間では語り継がれている。例によって、それら二作も復刻は果たせずにあり、時代の進みと共に緩やかに認知が薄れつつある。

そんなことはない、と今も好きなプレイヤーは思うかもしれないが、現在のゲーム機で遊べる手段がなく、購入は中古市場、当時のゲーム機が必須な状況で、果たして薄れていないと言えるだろうか?

筆者もソウルブレイダーのみならず、それに続く二作には大きな感銘を受けた人間の一人だ。このような名作が今後、徐々に忘れられていくことはたまったものではない。何らかの形で復刻して欲しい。

当時、大ヒットとまでは言われずとも、発売から20年以上が経った今も語り継がれているほどの作品なのだ。複雑な事情が絡むが、待ち望む人は決して少なくない。いつの日か、それが成し遂げられて欲しい。そんなことを思いながら今回、筆を下ろさせていただいた。

いくら薦めたところで、遊ぶための難易度が激増している現状ではどうにもならない。それが解消され、今の世代に触れる機会が作られることを願って。

著者:シェループ
新旧様々なゲームに手を伸ばしては、積みゲーを増やし続けるひよっこライター。アクションゲーム全般(特にロックマンシリーズとメトロイドシリーズ)と戦略シミュレーションが大好物。
Twitter:@shelloop