進化を続ける「東京ゲームダンジョン」、成長の秘訣は「展示者目線」「来場者目線」
著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長)
ゴールデンウィーク真っ只中の5月4日、東京浜松町で「東京ゲームダンジョン5」が開催されました。
2022年8月の初開催から間もない東京ゲームダンジョンですが、出展者、来場者の双方に愛されるイベントに成長しました。
当初から多かった出展数も増え続け、5回目となる今回は約260団体にまでになりました。浜松町の東京都立産業貿易センターの3階、4階の2フロアでの開催となり、来場者は1日しかない中でお目当てのブースを階を跨いで見て回ることになりました。
成長の原動力は、JR山手線浜松町駅から徒歩数分という会場の立地の良さもありますが、より重要なのは主催が展示側の事情をよくわかっていることでしょう。主催の岩崎氏自身がゲーム開発者でもあり、出展側に立ってこだわっている「広い展示用テーブル」「豊富な電源」「歩きやすくて展示を見やすい広い通路」は出展者、来場者の双方から好評を獲得しています。この広い展示スペースというコンセプトは単純なはずですが、商用性の高いイベントではなかなか実現が難しく、東京ゲームダンジョンは他のゲームイベントにはない快適な空間を作っています。
日本のインディーゲームの展示会といえば、京都のBitSummitが最大の規模ですが、東京ゲームダンジョンは近い将来それを抜くのでは?と思うほどの勢いです。
もちろん会場の物理的なキャパシティの問題や、運営体制の違いなどもありすので一概に論じることはできませんが、そう思ってしまうほど良いイベントに成長しています。
展示スペースへのこだわりのほかに、東京ゲームダンジョンのもう一つの特徴は、上でも少し触れましたが、「商用的ではない」ということです。もちろん経費を賄うためにスポンサーはついていますが、しかし基本的に「インディーゲームの開発者により多くの展示機会を提供したい」という思いが根底にあり、そこがぶれておらず、それがインディーゲーム界隈に広く理解されている感があります。そのあたりはBitSummitをはじめ、他の展示会とは異なる点でしょう。
必ずしもビジネスに特化したタイトルばかりではないインディゲーム界隈にとって、ビジネスの匂いがキツすぎる展示会は雰囲気として少し敬遠したいなという開発者も少なくなく、この点も無視でない要素です。
ここのところ1年に2〜3回ペースで開催されている東京ゲームダンジョンですので、年内にもう一度、があるかもしれません。あるいは来年の1月〜2月頃なのか、楽しみに発表を待ちたいと思います。
東京ゲームダンジョンが開催される浜松町は、羽田空港からのアクセスもよく、是非地方の方も一度見てみていただければと思います。地方からの遠征は大変だと思いますが、その価値はあるイベントだと思います。