ChinaJoy2024を総括、大手のための展示会の今後の行方は?

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 著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長) 

7月30日に幕を閉じた、中国最大級のゲームの展示会であるChinaJoy。コロナ禍を経て大型のゲームイベントの在り方が変遷する中、ChinaJoyもその立ち位置を問われる年となりました。

ChinaJoy2024を総括、大手のための展示会の今後の行方は?

この記事では、ChinaJoy2024の全体を振り返って、その総括を筆者なりにお届けしたいと思います。

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まずはBtoBコーナー。BtoBコーナーの展示を見るとその年のゲーム業界のトレンドが分かるのですが、今年のChinaJoyは良くも悪くも特徴がありませんでした。展示の多くは広告系で、かつてペイメント系やVR系のサービスが多く出展されていた年と比べると勢いは感じられませんでした。

来場者も多くなく、去年よりさらに閑散とした感じに見えました。

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しかし、BtoBコーナー入り口に設置されていたインディーエリアは比較的多くの来場者を集めていました。
今年からChinaJoyはインディーゲームの展示にも力を入れるとのことでしたので、その結果が出たのだろうと思います。

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インディーエリアはBtoCコーナーにも設置されており、筆者は見ることはできませんでしたが、出展者の話によると多くの来客があったようです。

大手のための展示会として認知されているChinaJoyですが、その大手がリアルイベントへの出展に対して態度を変えつつある中、中小規模のゲーム開発者に焦点を当てるのは自然なことかもしれません。この動きはインディーゲーム界隈にとっても良いことで、国際的なイベントであるChinaJoyと関わることでチャンスを得るインディーゲームタイトルも出てくるでしょう。

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会場内には日本のIPの展示も多数ありました。中国でも日本のアニメや漫画のIPは人気があり、関連のゲームも多く出ています。

かつては海賊版の天国だった中国市場ですが、現在はかなり清浄化され、正規のライセンスでのIP展開が増えてきました。
日本のIPが人気であることは、日本から見て喜ばしいことに違いありません。
文化的に近しい国である中国は、今後も日本のIP産業にとって重要な市場であり続けるでしょう。

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こちらは、今年1月にリリースされて物議を醸した「パルワールド」。中国でも人気があるようで、熱心に写真を撮るファンの姿も見られました。

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去年はちょっと少ないかな?と感じたコンパニオンさん、レイヤーさんも今年は少し増えたように感じました。

かつては過激な衣装で問題になったChinaJoyのコンバニオンさん、レイヤーさんですが、近年は厳格なレギュレーションが導入され、健全化しています。

ゲームイベントには家族連れや小さな子供も参加しますので、これはとても喜ばしいことです。
ChinaJoy2024を総括、大手のための展示会の今後の行方は?中国の展示会といえば、ステージにコンパニオンさんを整列させる華やかなショーが見ものですが、今年のChinaJoyでもそれは健在でした。ChinaJoy2024を総括、大手のための展示会の今後の行方は?さまざまな大手のステージで実施されていましたが、特に多くのコンパニオンさんを並べることで有名なGIANTのブースは、例年通りの大盛況でした。

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BtoBコーナーは人が少なく感じましたが、それに比べてBroCコーナーはまずまずの人出だったのではと思います。

インディーエリアへの注力が、集客にどれくらいの効果があったのかは不明ですが、ChinaJoyの広報さんと話したところ、今年は去年に比べると集客はうまくいっている、とのことでした。

ChinaJoy2024を総括、大手のための展示会の今後の行方は?

10年以上もの間、中国のゲームシーンを牽引してきたChinaJoyは、コロナ禍と、中国経済の変化によってその立ち位置を変化させつつあります。

インディーゲームへの注力もその1つですが、中国のインディーゲームイベントといえばWePlayが既にあり、またその規模の大きさからインディーゲームだけが変化の全てということではありません。

日本をはじめ海外メディアの誘致に今後も力を入れていきたい、とChinaJoyの広報が語るように、海外に対してオープンな姿勢であるということは、今後の中国のゲーム業界にとって一つの重要なキーワードになるでしょう。

まずますの成功と言って良いChinaJoy2024ですが、かつての勢いから見ると、完全復活はまだ先のように思えます。
中国経済が今の不況を乗り越え、再度成長路線に乗った時、ChinaJoyがどのような役割を果たすのか、これからもChinaJoyの振る舞いに注目していきたいと思います。

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著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長)
いつの間にかメディアの人みたくなったことにいまだに慣れない中年ゲーマー。夜行性。
好きなゲームは「桃鉄」「FF5」「中年騎士ヤスヒロ」「スバラシティ」「モンハン2G」「レジオナルパワー3」「スタークルーザー2」「鈴木爆発」「ロマサガ2」「アナザーエデン」などなど。
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