【東京ゲームショウ2019】インディーズゲームコーナーで存在感を増す台湾のインディーゲームディベロッパーたちをレポート(その2)

 イベント取材 
  公開日時 

 著者:篭谷千穂 

東京ゲームショウインディーズゲームコーナーで存在感を増す台湾のディベロッパーおよびタイトルのレポートの続きです。

東京ゲームショウのインディーズゲームコーナーには、毎年日本国内だけでなく世界各地から独創的なタイトルが試遊出展されますが、近年特に出展数・クオリティ共に存在感を増しているのが台湾。

地形を変化させて進むPOPなパズルアクション

【東京ゲームショウ2019】インディーズゲームコーナーで存在感を増す台湾のインディーゲームディベロッパーたちをレポート(その2)Busy Toaster Gamesは台北を拠点にPC/コンソール向けタイトルの開発を手がけているゲームディベロッパー。これまで同社は大手パブリッシャーのAAAタイトルの下請け開発を手掛けてきましたが、今回出展したアクションパズルゲーム「Georifters」は同社初の完全オリジナルタイトルです。

【東京ゲームショウ2019】インディーズゲームコーナーで存在感を増す台湾のインディーゲームディベロッパーたちをレポート(その2)「Georifters」は、地形を変動させる能力を持ったお菓子の国の女の子「キャンディ」を操作し、5つの世界を冒険する横スクロールパズルアクションゲーム。

マップに配置されたブロック状の地形を上下左右にずらしたり、宙に浮かせたり、回転させたり、壊したりと自由自在に変化させてゴールまでの道を作っていくという内容で、一見シンプルなシステムに見えるものの”脳トレ”的な頭を使うステージ構成になっており、常に一歩先を考えながらプレイしなければなりません。

同社では親子や兄弟など家族が一緒にプレイすることを想定しており、アートワークのモチーフとして小さな子供にとって親しみやすい「お菓子」を採用したそうです。

【東京ゲームショウ2019】インディーズゲームコーナーで存在感を増す台湾のインディーゲームディベロッパーたちをレポート(その2)なお、マップ上にはステッカーやクリスタルといった収集アイテムも配置されており、これを集めることで「キャンディ」以外のプレイアブルキャラクターや彼らの能力、見た目を変更できる着せ替えスキンを開放することができます。

もともと本作はPC向けタイトルとして開発を進めていたそうですが、後に日本語翻訳も加えたうえでNintendo Switch向けの配信を決定。リリースは2020年の予定で、さらにPS4版とXbox One版のリリースも予定しているとのこと。

Busy Toaster Games

https://www.busytoaster.com/

Georifters

https://www.georifters.com/

台湾アートとクトゥルフ神話の融合

【東京ゲームショウ2019】インディーズゲームコーナーで存在感を増す台湾のインディーゲームディベロッパーたちをレポート(その2)Glass Heart Gamesは2年前から本格始動したまだ新しいインディゲームスタジオ。今回出展したダークファンタジー横スクロールアクションゲーム「Vigil: The Longest Night(守夜人:長夜)」は彼らのデビュー作ですが、いきなりPC/コンソール向けのミッドコアタイトルにしてグローバル配信という意欲作です。

【東京ゲームショウ2019】インディーズゲームコーナーで存在感を増す台湾のインディーゲームディベロッパーたちをレポート(その2)本作の舞台は、女神の呪いにより永遠に夜が明けなくなったしまった町。そんな夜の町の治安を守る夜警団に所属する主人公・レイラは、人間を脅かす異形のモンスターと戦いながら、行方が分からなくなってしまった妹を探します。

なぜ町は夜の世界に閉じ込められてしまったのか?モンスターたちは一体何なのか?妹の行方ば?ゲームの世界設定は序盤ではほとんど説明されず、戦いを重ねながら他のキャラクターと話したり、冒険の過程で見つけた書物などを読んでいくことで少しずつ明かされていきます。

【東京ゲームショウ2019】インディーズゲームコーナーで存在感を増す台湾のインディーゲームディベロッパーたちをレポート(その2)それにしても印象的なのはこれがデビュー作とは思えないほどハイクオリティなグラフィック。町のデザイン自体は中世ヨーロッパ風なのですが、その描写の仕方にどことなく墨絵のタッチが影響しているように見受けられました。

また、モンスターたちは胴体の動きに対し手足が妙に忙しなく動くという独特のモーションだったのですが、これは台湾の伝統的な切り絵パペットの影響なのだとか。さらに開発者さんはH.P.ラヴクラフトの「クトゥルフ神話」作品が好きだそうで、タイトル全体の雰囲気やモンスターのデザインも同作品群にインスパイアされているとのこと。つまり台湾アートとクトゥルフ神話という、西洋と東洋のテイストが融合した異色ホラーというわけです。

本作ももともとはPC向けタイトルでしたが、後にコンソール向け展開を決定。まずは2019年内にPC版(Steam版)をリリースし、翌2020年にPS4版、Switch版、Xbox One版をリリース予定です。

「Vigil: The Longest Night(守夜人:長夜)」Steamページ

https://store.steampowered.com/app/720560/Vigil_The_Longest_Night/

「ダークソウル」テイストのローグライクRPG

【東京ゲームショウ2019】インディーズゲームコーナーで存在感を増す台湾のインディーゲームディベロッパーたちをレポート(その2)CreAct Gamesは2015年より活動を開始したインディゲームスタジオで、今春よりSteamにてアーリーアクセス版の配信を開始したPC向けダンジョン探索型ローグライク3DアクションRPG「Neverinth(永劫回廊)」を開発しています。

【東京ゲームショウ2019】インディーズゲームコーナーで存在感を増す台湾のインディーゲームディベロッパーたちをレポート(その2)本作は北欧神話におけるラグナロク(終末戦争)後の世界を舞台としており、プレイヤーは3人のヴァルキリー(正式版では5人になる予定)の中からキャラクターを選んでダンジョンを探索しつつ敵のモンスターと戦います。

ダンジョンは入る度にランダム生成され、登場するモンスターや出現パターン、ダンジョン内に配置されるアイテムの種類も全て変化するため、攻略にはその時の「運」の要素もあり、明確な攻略法はありません。各階層にはに強力なボス敵が待ち受けており、道中でこまめに武器とアイテムを取得しスキルを習得するキャラクター育成も必須です。

【東京ゲームショウ2019】インディーズゲームコーナーで存在感を増す台湾のインディーゲームディベロッパーたちをレポート(その2)本作はローグライクRPGということで、死んだら即最初からやり直しというシビアなルール。しかし入る度に異なるダンジョンをプレイできるため飽きが来ず、実績を解除しておけば再スタート時に特典も貰えるので再挑戦へのモチベーションが失われることはありません。開発者さんによれば、「ダークソウル」シリーズや「モンスターハンター」シリーズ、「悪魔城」シリーズ、「イース」シリーズなどに影響を受けているとか。

現在アーリーアクセス版ということもあり、現時点では英語と中国語(簡体字・繁体字)のサポートしかありませんが、できれば日本語翻訳も加えたいとのこと。今後もSteamコミュニティでのフィードバックを参考に正式版リリースに向けた開発を進めていくそうなので、3Dアクションや死にゲーが好きな方はぜひ本作をプレイして同社に感想や要望を送ってみて下さい。

「Neverinth(永劫回廊)」Steamページ

https://store.steampowered.com/app/966430/Neverinth/

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著者:篭谷千穂
Techブログメディア「vsmedia」を個人運営していたり、英字新聞「The Japan Times」にガジェットとアプリのコラムを書いているライター。
他にも特殊メイクや特殊造型、アクセサリー製作、仮面作家としても活動しています。