【後編】PokémonGOの1年3ヶ月-熱狂のリリースと社会問題化-PokémonGOとは何だったのかを振り返る

 コラム 
  公開日時 

 著者:岡安 学 

前回のコラムからの続きとなるPokémonGOの1年3ヶ月を振り返るコラムです。今回は2017年2月のジョウト地方ポケモンの追加から11月までの経緯を追っていきます。

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2017年2月には待望の『ポケットモンスター金・銀』のポケモン、いわゆるジョウト地方のポケモンがフル参戦します。カントー地方と同様に伝説のポケモンや地方限定などいくつかのポケモンは出現していませんが、待望のポケモンの増加となりました。

伝説のポケモンや一部の特殊な技を持つポケモンなどの抜け番があるものの、これで249種類のポケモンが出現することになったわけですが、現時点では本家『ポケットモンスター』シリーズでは800種類以上のポケモンがいるので、このペースで増えても後4~5年はネタ不足にならない感じです。

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ジムが大幅改修!レイドバトルも登場!

そして1周年を迎える2017年7月には、これまでにない大幅なリニューアルが行われました。ひとつはジムの大幅改修です。これまでのジムは自分の所属チーム以外のジムであればバトルによって、相手のポケモンを追い出し、自分のポケモンを配置するのが目的でした。

仲間チームであればトレーニングをして、仲間のポケモンを配置できる数を増やしていきます。このシステムだとどうしても強いポケモンを持っている高レベルトレーナーしか、ジムバトルに参戦できませんでしたが、新しいジムでは低めのレベルでも参戦できるように仕様を変更されています。
バトルでほかのチームのポケモンを倒すのはこれまでと変わりませんが、バトルを繰り返したり、時間が経過するごとに配属されたポケモンが弱くなっていくので、弱い人でも勝てるチャンスがでてきました。

また、ジムを開放すると6枠のポケモン設置枠が一気に解放されるので、強い人と一緒にいるだけでジムにポケモンを設置できるようになりました。
ジムにポケモンを配置することで貰えた報酬(ポケコイン)も変化し、ジムに設置した時間に応じてポケモンが追い出されて帰ってきた時に貰えるように改変。これでずっと配置しておく意味がなくなり、ジム内の新陳代謝がよくなりました。
ただそれ以前の報酬は設置しているだけで21時間ごとに最大100ポケコインがゲットできたので、ほとんど動きのない地方のトレーナーにとっては改悪と言う印象をもたれたようです。もともとポケストップやジムの数、ポケモンの出現数などで、地方と都市部に格差が生じていたので、より地方が厳しくなったという意見もあります。

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さらにジムではレイドバトルという、複数のトレーナーで1匹の強力なボスポケモンを倒す協力バトルも開始されました。
普段ではまったく敵わないようなボスポケモンでも、一緒に戦うトレーナーによっては倒すことができるので、これも初心者にとってはありがたいシステムとなりました。

出現するポケモンは強さに応じて星の数が違い、星4つのポケモンではラプラスやバンギラスなど、レアで強いボスポケモンも出現し、それをゲットできるチャンスができたわけです。
ただこれもボスポケモンの強さに応じて、参加する人数がある程度必要なため、人数が集められない地方や住宅街などでは、恩恵を得られないという事案も発生しました。PokémonGOの最大の課題は地域格差であり、それは未だに解消されてはいません。

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リアルイベントの開催、そしてレイドバトルが登場!

そして2017年7月22日にいよいよアメリカのシカゴでPokémonGO初のリアルイベントが開催されました。
イベント自体は通信障害などが発生したせいで用意したプログラムをこなすことはできませんでしたが、伝説のポケモン、ルギアとフリーザーが解放され、レイドバトルでゲットできるようになりました。
ジムの改変とレイドバトルの追加、さらに伝説のポケモンの登場により、一度はやめてしまったユーザーや休眠していたユーザーなどが一気に復活し、多くのトレーナーが街に出現するようになりました。

伝説のポケモンが出現したジムでは、集まったユーザー全員でタイミングを合わせて参戦するように声がけしたり、ボスポケモンの弱点を教えて有利なポケモンの種類を指導したりと、リアルでコミュニケーションに発展するシーンも目にするようになりました。

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このことによりジョン・ハンケ氏の思い描いていた「人を外に連れ出すこと」に加えて、もうひとつの理念である「人と人を出会わせること」がようやくPokémonGOでもできてきているように感じました。

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横浜でもPokémonGOのリアルイベントが開催

シカゴのリアルイベントの翌月には、日本でもリアルイベントが開催。ここ数年横浜で開催している「ピカチュウ大量発生チュウ!」で、PokémonGOのイベントも用意されていました。

赤レンガ倉庫近辺とカップヌードルミュージアム近辺をPokémonGOパークとし、ヨーロッパの地域限定ポケモン、バリヤードを期間限定で出現させました。またレアポケモンの中でもレアであるアンノーンも出現。
シカゴでは英語スペルである「CHICAGO」の文字を模したアンノーンが出現し、ピカチュウ大量発生チュウ!では、開催地の「YOKOHAMA」、11月に開催した「鳥取GO」では「SAKYU」の文字を模したアンノーンが出現した。今後もリアルイベント毎にその開催地のアンノーンが出現するのがデフォルトとなりそうな気配です。

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8月14日には、横浜スタジアムにてPokémonGOスタジアムが開催されました。
PokémonGOスタジアムはイベントが行われるまで内容が伏せられていましたが、結果としてミュウツーのレイドバトルとなり参加者を驚かせていました。のちに、EXレイドバトルとなり、招待された人だけが参加できる特別なレイドバトルとしてフィールドテストが行われています。11月22日にはEXレイドバトルの正式リリースも発表されており、全国でミュウツーが出現することになる予定です。

ピカチュウ大量発生チュウ!は7日間の開催で、PokémonGOによる集客は200万人を超えたという発表もありました。
200万人という数字は延べ人数であるうえ、もともと観光地のみなとみらいに訪れた人がついでに遊んだというのもあると思いますが、それを含めたうえでも驚きの集客数となり、1年経過しても継続するPokémonGOの人気とポテンシャルの高さを見せつけられたと言って良いのではないでしょうか。

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ほかにもフリーザーに続きサンダーとファイヤーの伝説ポケモンもレイドバトルに出現し、9月からは1ヶ月限定でポケモン金・銀の伝説ポケモンであるスイクン、ライコウ、エンテイのレイドバトルが開催されています。さらにハロウィンイベントでは5種類のみでしたが第3世代のポケモンが出現しており、近々第3世代のポケモンの追加がされると見られています。

トレード機能の実装なども噂されており、PokémonGOの人気はしばらく続きそうです。

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ハロウィンイベント以外のイベントも定期的に行われています。
先日行われたグローバルチャレンジでは全世界で期間内に30億匹のポケモンを集めるイベントを開催。達成すると全世界に東アジア限定のカモネギが、東アジアにはオセアニア限定のガルーラが出現するとあり、多くの人が参加しました。

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PokémonGOをプレイした方の中には、すでに止めてしまった方も多いのではないでしょうか。
でもローンチ当時はもともと描いていたPokémonGOの数パーセントもゲームに反映できていなかったと開発者が言っていることを考えると、その当時の印象で判断してしまうのは時期尚早だど思いますので、もう一度プレイしてみてはどうでしょうか。たぶん今の時点でも印象はかなり違うと思いますし、今後ももっと変わっていくと思います。

PokémonGO公式サイト

著者:岡安学(オカヤスマナブ)
デジタルライター/Allaboutデジカメガイド
eスポーツを精力的に取材するフリーライター。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。様々なゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『INGRESSを一生遊ぶ!』(宝島社刊)。
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