中国でのアプリ展開成功の秘訣は?台湾デベロッパーの成功例から学ぶアプリのアジア展開

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  公開日時 

 著者:林思宇 

本シリーズでは、「アプリの海外への展開」をキーワードに、日本のアプリデベロッパー様の海外展開の取組事例やEU圏のアプリデベロッパーの動向について取り上げてきました。

参考記事 1記事目:スマホゲームの韓国展開のポイントは!?人気デベロッパー「Cybergate Technology Limited」から実例を学ぶ

参考記事 2記事目:Nordic Game 2018から見えてきたEUゲームデベロッパーの実情と、中国・インド・日本のゲーム市場

アプリの国際展開が一般的になる中で、自国以外での収益化は自身の制作したアプリの成長を促すために欠かせない要素になってきていると我々viidleは考えています。実際に多くの海外製のアプリが日本に入ってきています。

では、海外のアプリデベロッパーはどのようにアプリをグローバルへと展開しているでしょうか。
今回は台湾のゲームデベロッパーであるGamtropy社が中国のApp Storeで総合ランキング4位まで上がった実例を元に、台湾・中国で受け入れられるアプリの特徴やその方法をご紹介いたします。

中国でのアプリ展開成功の秘訣は?台湾デベロッパーの成功例から学ぶアプリのアジア展開


リン
それでは、はじめに会社のプロフィールを教えてください。

Gamtropy
はい、我々Gamtropy Studio(中国語名:遊戲熵工作室)は、2017年に設立した台湾のインディーゲームデベロッパーです。メンバーは三人で、元々は大学の同級生です。

Gamtropy
ゲームを作るうえでは、ユーザーが興味を持ちそうな話題をゲームの題材にしています。

Gamtropy
ゲームのメカニズム、遊び方、テーマなどから色んな可能性を見出して、ユーザーに特別なゲーム体験を与えることを目指しています。

リン
なるほど、テーマの設定からこだわりがあるのですね。そもそも3人でゲーム開発に携わろうと思った背景はどんなところにあったのでしょうか?

Gamtropy
ここ数年台湾のゲーム業界では、日本、韓国、中国から来た課金ゲームがストアを占めている現状がありました。台湾発のゲームを広めていきたいという想いがあって、独立してゲームを作ることを決めました。

リン
Gamtropyさんがリリースしているアプリゲーム、「DESERTOPIA」が今回のメインテーマですが、簡単にこのゲームのコンセプトや開発に至った経緯を伺えますか?

Gamtropy
Desertopiaは、砂漠だった島に水を与えて、生態系の豊かな環境を取り戻すことを中心に考案されたシミュレーションゲームです。このゲームの大きな特徴は、永久的に持続するものはないんだよ、ということをユーザーに伝えているということです。

中国でのアプリ展開成功の秘訣は?台湾デベロッパーの成功例から学ぶアプリのアジア展開

中国でのアプリ展開成功の秘訣は?台湾デベロッパーの成功例から学ぶアプリのアジア展開

中国でのアプリ展開成功の秘訣は?台湾デベロッパーの成功例から学ぶアプリのアジア展開


Gamtropy
Desertopiaのモデルは地球であり、もっというと台湾をテーマにしています。

Gamtropy
ゲーム内の事件も実際に台湾で起きた環境問題や、社会問題をテーマにしています。

Gamtropy
ゲームに登場する生き物の実際に居住する環境情報なども参考にして、実際の動物の生活環境に近い形を作り上げています。

Gamtropy
非常にナイーブなテーマでもあると思っているのですが、ゲームを通じてユーザーが少しでもこの環境問題をリアルに捉えてくれるといいなと思っていましたし、可愛い雰囲気の中にふとした瞬間の現実を入れることで気付かされるものがあったのではないかと思っています。

リン
そうですね、私もDesertopiaを遊んでみましたが、ちょっと気を抜くと復活した動物がまた絶滅したりするので、罪悪感と闘いながらプレイしています(笑)

リン
ちなみに、このゲームだと台湾のユーザー以外でも共感できる部分も多いと思うのですが、遊んでいるユーザーは台湾以外の方も多いのでしょうか?

Gamtropy
仰る通りです。台湾をテーマにしているものの、それ自体を強く反映させているわけではないので、世界中のユーザーに遊んでもらっています。

Gamtropy
文化の異なるユーザーからの意見などが欲しかったこともあり、多言語に対応してグローバル規模でリリースしています。その甲斐もあって、アジアだけではなく欧米圏にも積極的に展開できていると思っています。

リン
世界中のユーザーが楽しんでいるんですね!具体的に、グローバルに展開するにあたって集客で気を遣ったポイントなどはあるのでしょうか?

Gamtropy
積極的に広告予算を投下してユーザーの集客をする体力はまだ無いので、主にイベントに出展して、色々な媒体やプラットフォームで紹介してもらうようにしています。

Gamtropy
プレスリリースやフォーラムでの発信などの、無料で行える方法はいくつも試しています。

リン
なるほど、発信力のある媒体やプラットフォームとの関係値構築が集客を伸ばしていく一つのポイントになりそうですね。

リン
ちなみに、App StoreやGoogle Playにフィーチャーされていましたが、何かフィーチャーされるコツなどはあるのでしょうか?

中国でのアプリ展開成功の秘訣は?台湾デベロッパーの成功例から学ぶアプリのアジア展開


Gamtropy
App StoreとGoogle Playでフィーチャーされるきっかけになったのは、台北ゲームショウや京都で開かれたBitSummitなどのイベントで、直接ストアの担当者に会えたことだと思います。

Gamtropy
出展をしていたブースに足を運んでくれたので、その時にゲームのデザインとストーリーを紹介しました。そこでそれぞれの担当者が興味を持ってくれたことが、その後のフィーチャーに繋がったのだと思います。

Gamtropy
フィーチャーされたおかげで知名度とダウンロード数とも大幅に伸びました。

Gamtropy
特にグローバル規模でフィーチャーしてくれたので、担当者と直接会える機会を生みだすためにイベントで出展したことは非常に有意義でした。

Gamtropy
今回のフィーチャーを通じて、中国でのオーガニック流入が30万ダウンロードを超え、中国市場のポテンシャルの高さも直接感じることが出来ました。

Gamtropy
中国のiOSランキングで上位に上がったことは大きな転機になりましたね。

Gamtropy
中国への展開、集客はハードルも高かったのですが、フィーチャーされたことで現地のユーザーが積極的に遊んでくれることも分かりました。今までの方向性が間違っていなかったと証明されたと思っています。

リン
確かに、中国での成功はどのデベロッパーさんも注目されていますよね。

リン
現地のユーザーにも楽しく遊んでもらえたというのは、今後の開発にも支えになりますね。

リン
世界中のユーザーに楽しんでもらうアプリを作るために最も重要視していることはなんでしょうか?
また、注力している特定の国はありますか?

Gamtropy
ローカライズとカルチャライズが最も重要だと思っています。現地の文化やそれに沿った適切な翻訳などを考慮すると、質の良いローカライズ業者を見つけることが成功の鍵を握ります。

Gamtropy
逆を言えば、きちんとローカライズとカルチャライズが成立していれば、ゲームのコンセプトに同意してくれるユーザーは世界中に存在しているはずです。

Gamtropy
注力している特定の国に関しては、中国は最も効果的にメリットをもたらせる規模を持っていますが、参入障壁の高さも変わらずに存在しています。

Gamtropy
フィーチャーされることを引き続き重要ポイントと捉えて中国への参入は続けていくつもりです。

Gamtropy
ただ、規模に関わらず広告の収益単価が高いエリアで言えば日本とアメリカです。そちらも同様にフィーチャーを狙っていくことが重要だと捉えています。

リン
ありがとうございます。ここまでは、グローバルでのお話が中心となりましたが台湾のアプリ市場については何か心がけていることはありますか?

リン
もし、市場のトレンドや変化があればそれも併せて教えてください。

Gamtropy
台湾のインディーゲームデベロッパーは増えていると思いますが、一般ユーザーのインディゲームに対する認知が低いので、大手ソーシャルゲームと競争などもあり、インディゲームの成功は非常に難しくなっています。

Gamtropy
特に台湾のデベロッパーが広告マネタイズモデルを検討する場合は、台湾だけで収益化するのは難しいのではじめからグローバル展開をベースに組み立てる必要があります。
当然ながらその分難易度も高くなります。

Gamtropy
その点、日本から海外展開を検討している会社からすれば、収益が上がりやすい市場だと思います。

リン
台湾での広告マネタイズが難しいというのは人口が少ないという問題が大きいですよね。

リン
その影響で、台湾では初めから有料モデルのアプリや課金を中心としたアプリ開発が行われているということだと思いますか?

リン
また台湾で流行るために必要な施策や日本のパブリッシャーに対する進出へのアドバイスはありますか?

Gamtropy
そうですね、台湾の人口を考慮すれば有料モデルや課金モデルが多くなりやすいと思います。その他には、台湾で流行っているゲームタイプはRPGやソーシャルゲームがメインで、ゲーム内で広告を入れることはゲームの世界観を壊しかねないという理由からあまり考えられていないのだと思います。

Gamtropy
そもそもコアなゲームユーザーに対しては広告との接点が持ちづらいこともあり、開発者の目線から気づきにくくなっているということも考えられます。

Gamtropy
そのため台湾で流行るには、開発時から自分たちが制作するゲームと、主流となっているゲームとの差別化が重要になります。また、マーケティング施策に対してはユーザーが直感的に理解できる内容を検討し、市場のトレンドを読み解く事が基本になります。

Gamtropy
もし日本のデベロッパーさんが台湾に進出する場合は、広告の出し方にも気を付ける必要があると思います。

Gamtropy
台湾ユーザーは広告モデルのモバイルゲームに慣れてきていますが、ユーザーに不快感を与えないようにインタースティシャル広告の頻度を抑えつつ、リワード広告にはユーザーが報酬に対してメリットを感じられるかどうかを考慮した上で計画した方が良いでしょう。例えば視聴回数の累積や宝くじなどの方法でインセンティブを与える、などが良いと思います。

リン
コアゲームだと難しいですが、カジュアルに遊べるゲームだと台湾パブリッシャーが気付いていないだけで、広告で収益を得るということは出来そうですね。

リン
本日はありがとうございました!

Gamtropy
ありがとうございました!

各国へ展開する方法はさまざまですが、Gamtropyさんはイベント出展からアプリストア担当者とつ繋がり、ストアでフィーチャーされがことが成功に至った秘訣だったようです。

国際的なゲームイベントは世界中のデベロッパーのアプリが一堂に会する場なので、情報発信の場として最適ですね。台湾では台北ゲームショウをはじめとして、アジアのデベロッパーを中心としたイベントが活発に行われています。

つい先日、台北ゲームショウ2019の出展受付も開始されました。このイベントはアジアを中心に海外から出展するデベロッパー、パブリッシャーさんも多く、日本からの参加も非常に好意的です。是非この機会に参加を検討されてみてはいかがでしょうか。

中国でのアプリ展開成功の秘訣は?台湾デベロッパーの成功例から学ぶアプリのアジア展開

http://tgs.tca.org.tw/indie_application_e.php

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viidleは広告マネタイズプラットフォームであり、グローバル全域での広告収益化をサポートしています。
主にアジア地域に注力をしており、韓国/中国/台湾/日本をベースに広告導入コンサルティング、ローカライズ、カルチャライズ、ユーザー集客などグローバル市場でのアプリグロース戦略に必要な施策を包括的な提案を得意としています。
グローバル展開の事例なども多く取り揃えておりますのでご興味のある方は、お気軽にviidleまでお問い合わせください。
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著者:林 思宇(viidle)
株式会社ファンコミュニケーションズに入社、スマートフォンアドネットワーク「nend」の海外事業チームに配属。
その後、株式会社アドジャポンへ出向となり、海外事業の運営に深く携わる。
現在はviidleにおいてアプリのクロスボーダー収益化をサポートすべく日々活動中。
台湾出身のタピオカマニア、世界中のタピオカを体験していつか自身のタピオカ店を持つことが夢。